「人はなぜそれを売るのか?」

こんにちは。税理士の三田洋造です。

 

前回のブログから時間が経ってしまいましたが、今回は「人はなぜそれを売るのか?」というテーマで思うところを書いてみたいと思います。

やや抽象的な話ですが、ご容赦ください。

 

 

法人でも個人でも、事業を行っている人(代表者、社長など)は、自社の商品やサービスを「なぜ売るのか、つまり「何のために(=目的)売るのか」ということについて突き詰めて考えることは、日々の業務の中ではあまり無いと思います。

 

しかし、1年の中で1回とか数回、ふと、あるときに「私はなぜこれを売っているのだろう」と自問するときは、あるのではないでしょうか。

 

事業を行う人にとって、一番大切な、根本的な問いかけは、実はこの「なぜそれを売るのか」ということだと私は思います。

 

何のために自社は世の中に存在し、世の中に認められようとしているのか。

 

事業を行う人は、程度の差こそあれ、皆、「自社の事業を通じて社会に貢献したい」と思っている、つまり、自社の商品やサービスが(ごく狭い範囲かもしれないけれど)世のため人のために役に立つことを願っているのだと、私は思います。

 

しかしそれはただ「願望」のレベルに留まるのであって、本当に目指すべきは「実際に自社の商品やサービスが世のため人のために役に立っていること」、つまり「お客様がその商品やサービスを購入することがお客様のお役に立ち、満足や喜びに繋がっていること」だと思います。

 

そのために必要なこと、それが「私は(自社は)なぜ(何のために)それを売るのか」という問いかけではないでしょうか。

 

たとえば、誰かが脱サラして起業しようというとき、周囲の人(家族とか起業の相談をした人など)は必ず「なんで(なぜ)起業するの?」「何をやろうとしているの?」と問いかけると思います。

 

その質問の趣旨は「あなたはなぜ(何のために)起業し、何を売ろうとしているのか?そのことに(世のため人のためになるという)意義はあるのか?」ということだと思います。

 

さらに言えば、「あなたはそれで成功するのか?大丈夫なのか?失敗しないのか?」ということでもあると思います。

 

中には、こうした問いかけに対して明確な答えを持たないまま起業してしまう人もいるかもしれませんが、起業する人の多くは、言語明晰に表現できるか否かは別として、「私は○○のために〇〇を世の中に提供したい。だから起業してそれを実現するのだ」という「想い」を持っていることでしょう。

 

しかし起業した人も時間が経つにつれて、創業当初の想いを忘れがちになってしまうかもしれません。

 

また、創業者ではなく二代目や三代目(あるいはそれ以降)の人は、そもそも「商売を継げと言われたから」とか「自分が継がないとそこで途絶えてしまうから」といった理由で継いだまでであって、自分自身の中には、「なぜそれを売るのか」という問いかけすらしたことがない、という人もいるかもしれません。

 

あるいは、「得意先が作れと言っているから」とか、ごくシンプルに「(理由は良く分からないけれど、なぜか)売れているから」という理由で「それを売っている」という人もいるかもしれません。

 

だから、事業を行っている人の全てが「私はなぜそれを売るのか」という自問をしている訳ではないだろう、とも思います。また、そのような自問をしないまでも、事業が順調だから特に何も考えずともやっていけている、という場合もあるでしょう。

 

ただ、そうだとしても、私はやはり、事業を行う人は、折に触れ「なぜそれを売っているのか」という問いかけをしてみるべきだと思います。

 

同じ商品や同じサービスが同じ市場(お客様、商圏)に永遠に売れ続けるということはおそらく「あり得ない」でしょう。

 

時代が変われば、売れる商品やサービスも「変わってくる」のが普通ですし、そもそもお客様も「変わってくる(人や会社それ自体も変わるし、経済状態、諸事情、好みなども変わる)」ものです。

 

つまりお客様に支持される、受け入れられる商品やサービスは「いつか必ず変化する」ものであり、「今売っている商品やサービス」は「いつか必ず売れなくなる」訳です。

 

そのときに、いわば事業の課題(テーマ)として浮かび上がってくるのが「私(自社)はなぜそれを売るのか」という問いかけだと思うのです。

 

「私(自社)」が売りたいものと、お客様が買いたいものが一致しているときは良い。問題は、それが一致していないときです。

 

「なぜそれが売れないのか」。「なぜ受け入れられないのか」。

 

売れなくなって悩みが生まれるとしたら、それは人として当然の心理だと思いますが、事業を行う以上は、売れないときがくること、思ったように売れないことも「想定」しておかなければならないでしょう。

そして極力そうはならないように、つまり「大体、いつでも、概ね、商品やサービスが売れる」状態を構築しておくべきでしょう。

 

事業が成功しているというとき、なにをもって「成功」と言うかは人によって異なるかもしれませんが、ここではひとまず「私(自社)が、顧客のために役立ち、満足し、喜んでもらえるはずだと目論んだ商品やサービスが、その目論見どおりに売れている状態。そしてその結果自社が適正な利潤を獲得でき、私や社員が幸福になっている状態」とでも定義しておきます。

 

ここで重要なのは「目論見どおり」という部分です。

目論むというのは、「なぜそれを売るのか」を真剣に考えた結果でしか導き出せない行為だからです。

 

とりわけ、目論むということが重要なのであって、目論んだけれども外れることも多々あると思いますが、それはそれで、成功とは言えないかもしれないけれども、少なくとも「失敗」では決してないと私は思います。なぜなら、目論んだ結果が外れても、それは「次につながる」からです。

 

失敗とは、「目論むことをせず、売れず、売れない理由も解明しないままの状態」を指すものだと思います。

 

「人はなぜそれを売るのか」。

 

「私(自社)はなぜそれを売るのか」。

 

事業を行う人は折に触れ、このような問いかけをしてみるべきではないか、と私は思っています。

 

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